絵本の世界を、それぞれの距離で楽しむ
主人公を自分に重ねて疑似体験することも、「自分とは別の誰かのお話」として眺めることも、どちらもこの絵本の楽しみ方です。主人公の姿を特定の性別に寄せすぎず、日常で目にするものを物語の中に置くことで、入り込みやすさと親しみやすさを大切にしました。
お気に入りのページ、イラスト、ことば、色。どこから好きになっても大丈夫です。一人ひとり違う入口から、この世界を楽しんでもらえたらと思っています。
まるぽぽ公式サイト
いつもと同じ一日なのに、今日はなんだか全部が特別。誕生日を待つワクワクと、魔法にかかったような気持ちを描いた物語です。
公式読み聞かせ動画
いつもの日常に誕生日の魔法が重なっていく、夢のような一日。公式YouTubeの読み聞かせを、このページでそのまま楽しめます。

オリジナル絵本
主人公になったように誕生日を疑似体験するのも、夢のような物語として眺めるのも自由。読む人それぞれの距離で「特別な一日」を味わえる絵本です。
この絵本に込めた思い
『いちねんにいちどの とくべつなひ』は、一年に一度やってくる誕生日の、あの不思議な高揚感を描いた絵本です。朝が来て、いつものように一日が始まる。それなのに、今日はなんだか空気まで違って見える。そんな「お誕生日の魔法」にかかったような気持ちを物語にしました。
誕生日の思い出は、人によって本当にさまざまです。欲しかったものをもらったこと、おいしいものを食べたこと、大切な人と過ごしたこと、「おめでとう」と言ってもらったこと。静かに過ごした記憶や、少し複雑な気持ちを思い出す人もいるかもしれません。年齢やその時々によって、同じ「誕生日」という言葉から浮かぶ景色も変わっていきます。
だからこそ、子どもには今感じているワクワクを思いきり味わってもらい、大人にはいつの間にか遠くなっていた特別な気持ちを思い出したり、自分にとっての誕生日をあらためて考えたりするきっかけになればと思っています。
絵本のねらい
誕生日の感じ方にも、絵本の楽しみ方にも正解はありません。主人公になったように味わう人も、ひとつの物語として眺める人も、それぞれの心に残る「特別」を見つけてもらえたらうれしいです。
主人公を自分に重ねて疑似体験することも、「自分とは別の誰かのお話」として眺めることも、どちらもこの絵本の楽しみ方です。主人公の姿を特定の性別に寄せすぎず、日常で目にするものを物語の中に置くことで、入り込みやすさと親しみやすさを大切にしました。
お気に入りのページ、イラスト、ことば、色。どこから好きになっても大丈夫です。一人ひとり違う入口から、この世界を楽しんでもらえたらと思っています。
誕生日だからといって、街や学校や家の外側が大きく変わるわけではありません。それでも、自分の中ではいつもの朝が少し違って感じられる。その「いつもと同じなのに特別」という感覚を、物語全体の大切なテーマにしています。
何か特別な出来事があるから価値が生まれるのではなく、その日を迎えた自分自身が特別に感じられること。その気持ちを、さまざまな場面やことばで描いています。
主人公と自分を重ねて「こんな一日を過ごしてみたい」と感じるワクワクと、物語としてキラキラした世界を眺めるワクワク。その両方を味わえるようにしました。
ページをめくるたびに少しずつ違う高揚感が訪れ、読み終えたあとにも「自分の誕生日はどうだったかな」「次はどんな一日になるかな」と気持ちが続いていけばうれしいです。
物語の中には、身近なものや食べ物、現実世界で見覚えのあるものを、少し姿を変えながら散りばめています。最初はストーリーを追い、次は一ページずつじっくり眺める。読むたびに新しい発見ができるようにしました。
「ここにあった!」「これ、何かに似ているね」と見つけたことを誰かと共有する時間も、絵本の楽しさのひとつです。
絵本をつくろうと思ったきっかけ
もともと、いつか必ず誕生日をテーマにした絵本をつくりたいと思っていました。いつもと変わらない日常なのに、自分の心の中だけは絵本の世界に入ったようにキラキラしている。その大切な感覚を、物語として残したいと思ったことが始まりです。
制作しているうちに、私たち自身も子どものころの誕生日のワクワクを思い出しました。まわりの人にとっては普通の日なのに、「今日は私の誕生日なんだ」と少し主役になったような気持ちになる。「おめでとう」といういつもの言葉まで、今日は特別に聞こえる。そんな幸せな感覚を、ページいっぱいに込めています。
誰もが同じ思い出を持っているわけではありません。それでも、この絵本がその人なりの「特別な一日」を考えたり、これから迎える日を少し楽しみにしたりするきっかけになればと思っています。
大切にしたポイント 01
絵本全体を通して、いちばん大切にしたポイントです。誕生日の日も、朝が来て、出かけて、人と過ごして、一日が進んでいくという意味では日常の続きです。だからこそ、日常らしさをきちんと残したいと考えました。
一方で、生活感を細かく描きすぎると、誕生日のふわっとした特別感が弱くなります。どこまで描けば身近に感じられ、どこから先は想像に任せるのか。描きすぎず、描かなさすぎず、その境目を何度も考えながら仕上げています。
大切にしたポイント 02
誕生日を楽しみに待つ気持ちは、当日だけにあるものではありません。「明日は誕生日」「もうすぐ特別な日」と思うだけで、気持ちは先にその日へ向かっていきます。
この絵本では、その先走るほどのワクワクをストーリーそのもので表しました。素敵な一日を過ごしていたと思ったら、それは実は夢だった。そして目を覚ますと、本当の誕生日がこれから始まる。その構成にすることで、待ちきれない気持ちを物語の形にしています。
大切にしたポイント 03
日々の暮らしでは、自分が中心になるときもあれば、誰かを支える側になるときもあります。でも一年に一度の誕生日は、「今日は自分の特別な日」と感じていい日だと思います。
そんな主人公の気持ちを、夢のような絵の見せ方でも表現しました。一ページごとの枠をふんわりとさせたり、お出かけ先を現実とも夢とも言い切れない場所にしたりして、日常に魔法が重なったような世界をつくっています。
大切にしたポイント 04
物語の大半は、誕生日を待ちきれない主人公が見ている夢です。主人公自身はその出来事を夢とは知らず、現実の一日のように過ごしています。
そして夢が終わってしまっても、目を覚ませば本当の誕生日がこれから始まります。「楽しい時間が終わったら、幸せも終わり」ではなく、嬉しい気持ちは形を変えながら続いていく。その余韻も、この構成に込めた大切な意味です。
絵本に隠した小さな“秘密”
お花畑の場面をよく見ると、現実にはない不思議な花の中に、どこかで見たことのあるものが隠れています。ほかのページにも、身近なものや食べ物など、物語だけを追っていると通り過ぎてしまう小さな仕掛けがあります。
最初は主人公と一緒に誕生日の一日を楽しみ、読み終えたら今度は絵だけをじっくり見る。お気に入りのページや色を探す。秘密を見つける。そうやって何度も違う角度から味わえる絵本にしています。
ここに書いた楽しみ方だけが正解ではありません。「こんなふうに読んだら楽しかった」という新しい楽しみ方が生まれることも、私たちにとってうれしいことです。
まるぽぽの絵本づくり
まるぽぽの絵本に、対象年齢はありません。主人公に自分を重ねる、絵を眺める、自分の誕生日を思い出す、隠れたものを探す。どの年齢の方にも、その人なりの楽しみ方で味わってもらえたらと思っています。